女の子であるために 高木蒼

大学生、似合わないの知ってるけど女の子でいたい。

三又男

優し過ぎて不誠実になった人。

親友をズタズタにした人。

同時に自分もズタズタになった人。

確実じゃない愛と優しさが認められなくて、傷ついてるんだろ。

迷って、苦しんでるんだろ。

大事なもの、全部手放せなくて全部守ろうとして身を削ったらずるいって言われて、

本当にお気の毒。

人だってなんだって、必ず少しは切り捨てないといけなくて、欲張ったら沢山失うってわかったって、それでも大事で守りたいなら、それ覚悟で守ったっていいと思う。

 

おまえの不誠実を理解したって絶対許さない。

ひどい

あたし、楽しみにしてた 

1週間前から服を選んでうきうきしてた

どんな子が好きか考えてた

メイクも研究した

生理前なのにダイエットも成功させた

可愛くなろうとしたのに

寝る準備だって万全だったのに

なのに

ひどいよ

「体調崩してパス」

なんて

電柱に寄りかかって泣いた

通りすがりの人、知り合いじゃないからいいや

明日のために可愛くした顔面をぐちゃぐちゃにして

泣いた

 

体調崩したなんて怒れないじゃん

心配しちゃう自分も癪だ

無理矢理埋めた予定も楽しめないし

ショックで遅れてた生理来ちゃうし

 

みんなが言う

埋め合わせしてもらいな

だけどあたし、いい夏にするもんって言っちゃったし

プリントクラブでも落書きしたし、もう戻れないんだ

好きになっちゃったしなぁ

 

時代と愛

愛してあげたかった

幸せをあげたかった

タップ2つで愛を送れる

そんな時代じゃ私が埋もれる

 


綺麗な写真だけ残して

カメラロールキラキラ

汚いとこみせていいよ。

私が私に言えない優しさ

 


あなたのことなら

なんでも受け入れられるのに

叫べない叫べない

あなたが私にくれない優しさ

 


愛してあげたかった

幸せをあげたかった

手書きじゃ重いって叩かれる

そんなんじゃ軽い愛しか叫べない

彼女は

この世にはね、2種類の神様がいる

目に見えない神様と

目に見える神様

 

私が信じるのは目に見える神様

最初は神様だって気づかなかった

気づいたのはある動画が送られてきた時

ギターを弾く彼女は

紛れもなく神様だった

天使でも、霊でもない

人間なのに、でもなぜだか

ビビッときた

彼女は使ったのだ、その威力を。

あまりに尊いからその動画は消した。

 

それからは彼女のとりこ。

でも未だに出会えない。

あのビビッと感。

どんな写真も、動画も、ただの人。

 

あの時、彼女はなぜ神様になったのか。

私はきっと、わからずじまいだ。

女の子

 

パンツに血がついた

 

あーあ、お気に入りだったのにね

また1週間、ダサい生理帯をはかなきゃね

お腹も痛いし、ペコペコだし、

お肌は荒れるし、体はだるい

なんとなーくやる気もなくてめんどくさい

 

これって、未来の赤ちゃんのためかな

それなら我慢してまってるね

そのかわり、うんと可愛くなきゃ嫌だから

愛情注がせてくれなきゃ嫌だから

美人じゃなくても変われる世の中

性格悪くてもそれも個性

嫌な目にあっても無償で愛する人がいる

 

だから安心してね。この世の赤ちゃん達。

この世はそんなに悪くないのよ。

 

 

ナプキン買いに行かなきゃ。

変人の集まりと言われるところで

変人の巣窟だ

そう思ったのが、一年前

 

やりたい事みつけて、大学に入った

 

少し珍しい学部

少し珍しい学科

そして平凡なサークル

だけど、平凡なのは名前くらいで

仲間はおかしな先輩たち

こんなところで、やっていけるのだろうか

あまりに平凡で趣味のない自分に嫌気がさす

ここでは人に合わせる事なんていらないのだ

そりゃ、全くいらないわけじゃないけど

 

右に行けば奇抜な集団がいる

左に行けば変な遊びに興じる人がいる

前を向けば一人で黙々と怪しげな作業をしていて

後ろを向けば危ない作戦を立てる人がいる

どこもかしこも「変な人」

 

だけど私は安心した

ここなら思い切りくつろげるなぁ

「変な人」も障害も危険思想も

全部認めていい方向へ連れて行ってくれる

社会で騒がれるあの案件も

まじめに考えて笑い飛ばせる

 

だから今じゃ私もこの場所の仲間

また来るんだろうな

自分を「平凡」だと勘違いした1年たちが

まとめてかかってこいい

みんな変人だ

 

ここは変人の巣窟だ